きょうは何の日:Kiiiiiii江ノ島ライブ(2003/8/24)

enoshima

 3年前の8月24日日曜日、江ノ島西浜海岸海の家で開かれた南風食堂のイベント「One Plate Gathering」のゲストにKiiiiiiiが出演。近隣の店からのクレームで演奏は何度も中断。そのたびに仕切り直し、ライブは結局都合3ステージにも及んだ。当時の日記には「ゴダールの『気狂いピエロ』を生で、目の前で見ているような印象」と記されていた。映画の中のこんな台詞を思い出したのだ。
《また、見つかった、/何が、永遠が、/海と溶け合う太陽が。》

コヨーテ・アグリー・カムバック!

 21日(金)に開かれた、KiiiiiiiのDVD『GOLD&SILVER』発売記念のプチパーティーへ。会場は、以前Kiiiiiii名義で参加したグループ展のパーティー会場にも使われた六本木のバー、トラウマリス。カウンターとテーブル席がわずかの狭い店内には古くからのKiiiiiii仲間が集まり、まずは完成したばかりの『GOLD&SILVER』の上映会から。ホラー仕立ての寸劇に最初は皆笑い、そのあとで少し胸がキュンとなり、最後は大きな拍手に包まれた。短いけど盛り沢山の映像の中には、Kiiiiiiiというバンドの魅力のすべてが詰まっている。彼女たちのライブを2002年秋の鉄割公演で初めて観たときの忘れられない衝撃。その爆裂する輝きの灯を(短い距離だったけど)聖火ランナーのように掲げて次の走者に渡せたことを、ぼくは誇りに思っている。そんな想いで観ていると、この作品の約30分(+特典映像多数)の時間がそれまでの3年分に等しい重みをもって胸に迫ってくる。最後まで妥協せず、よくここまでのクオリティのものが作れたと思う。グッジョブ!

 バンド結成から現在までずっとKiiiiiiiの味方でいてくれた鉄割からのゲスト・中島弟の(主宰の戌井さんの弟くんへの愛が伝わるナイス港な)パフォーマンスの後に、バーカウンターをステージにしたKiiiiiiiの“it’s automatic”なライブ。本当に残念だったけど当日の体調の都合により、ぼくがレポートできるのはここまで。約3年前に出会ったKiiiiiiiとその仲間たちのここ何年かの努力が今年になって一気に実を結んでいる(この日のDJを務めたDJ子供くんも、作品集『まばたき』を出版した下平くんも)。ぼくにはそれが自分のことのようにうれしい。本当におめでとう!!!!!!!

Kiiiiiii@新宿red cloth, 060225

 金メダルと銅ナツメダルに輝くu.t.とlakin’。1〜2月の怒濤のシリーズの集大成ともいえる最高のライブ(新曲も聴けたし、アンコールも!)。Kiiiiiiiを好きでいて本当に良かった、と心から思えた。感動をありがとう(マジで)。

ラジオ

 『Quick Japan』最新号(Vol.63)の特集は「ラジオ」。明石家さんま(ヤングタウン現役DJ)のロングインタビューに始まり、ピストン西沢、モーリー・ロバートソン、桑原茂一、近田春夫、萩本欽一ほか、時代に名を残したDJ/ディレクターの貴重な証言と、著名人の思い出のラジオ番組についてのコメントや密度の濃いコラム、そして最後を佐野元春のロングインタビューで締めるという(いや、片岡義男のエッセイがあった)完璧な内容。小中高大の学生時代を常にラジオとともに過ごしたぼくの、心の片隅に忘れ去られつつある“ラジオ魂”を揺さぶる好企画だった。

 歌謡曲のベストテン番組を聞いて順位を毎週ノートに記録するようなマニアックな子どもだったぼくは、正真正銘のラジオ・チルドレンだった。6年生の時、ステレオのある近所の友達の家にみんなで集まって、架空の番組を作ったこともあった(みんなで代わりばんこにDJや選曲をしてそれをテープに録音した)なんてことはあんまり知られていないだろう。AMラジオで聞いてたローカル局(SBS)の夜の電リク番組にはじまり、中学入学時にFM付ラジカセを買ってもらったのを機に、ぼくのラジオの世界はステレオフォニックに広がっていった。洋楽のエアチェック(NHK-FM「クロスオーバーイレブン」やローカルのリクエスト番組)、そして佐野元春や坂本龍一がDJの伝説の番組、NHK-FM「サウンドストリート(サンスト)」がチャートに載ってない音楽をいっぱい教えてくれた。その後も小林克也DJの毎週日曜夜の音楽番組でスクリッティ・ポリッティやプリンス、クレプスキュール・レーベルの新譜をどこよりも早く聞かせてもらったり(英語も克也さんから学んだ)、コッペの「FMスーパーミクスチャー」では屋敷豪太や藤原ヒロシ、工藤昌之(メロン〜ピテカン人脈)のremix(いまでいうMASH-UP)が毎週流され、新しい時代の音に衝撃を感じたものだった。地方の人間にとって、今起こっていることを活字よりもダイレクトに家に届けてくれるラジオは、その当時本当に重要なメディアだった。

 そして今、ラジオはどうなっているのか。その後すっかりラジオと疎遠になってしまったぼくには、永年の同僚がディレクターとして作り続けてきた番組「FAR EAST SATELLITE」のことくらいしか思い浮かばない。Kiiiiiiiが毎月レギュラーDJを務める世界で唯一のプログラムだ。

 Kiiiiiiiが約二年半前の2003年、“ファテライト”に初めて登場した、その最初の収録に立ち会った日のことはいまでも忘れられない。番組スタッフの当初の要望の水準をはるかに超えて彼女たちが作ってきたのは、全60分にまとめ上げられたパーフェクトなラジオショーの台本だった。それだけでなく、3秒〜1分程度のジングルと効果音も全部自分たちで用意してきた(「Kiiiiiii will rock you」「Kiiiiiii for any occasion…」「Kiiiiiiiding」などジングルが元になって生まれた曲も多い)。ハイスクールの体育館でのライブという設定で行なわれたスタジオ・ライブには、番組の若いスタッフとぼくも「We Are The BAD」のハンドクラッピング役で出演した。Kiiiiiiiの柔軟な発想と脳内データベースの半端じゃない蓄積、それにディレクターとエンジニアがきちんと応えて番組が作られていく様子を目の当たりにして、心から感動した(この日のプログラムは、2003年FAR EAST SATELLITEベスト・プログラム大賞を受賞)。当時はまだKiiiiiiiの魅力をどのように伝えるか試行錯誤していた時期で、今では信じられない話だが、Kiiiiiiiという未知との遭遇にアレルギーを示す人も少なくなかった。そうした人々も含めたぼくの周りのいろんな人に、キラキラボールペンでジャケットを自作した番組のCD-Rを配った。たいていの人は番組を聞いてKiiiiiiiに新たな興味をもってくれて、それがとてもうれしかった(番組第二回のCD-Rのジャケはこちら)。

 本当に残念なことに、この「FAR EAST SATELLITE」という番組が諸般の事情により今年いっぱいで終わってしまう。しかしラジオ・チルドレンたちの遺伝子はきっと新たな形で受け継がれていくことだろう。『QJ』の特集を読んで驚いたのは、登場する人々が一様に“ラジオにしかできないこと”を明瞭に意識しそれを進行形で面白がっていることだった。「いまこそラジオだ」と言い切る人も多かった。その力強い言葉の数々を聞いてぼくも安心した。ラジオ魂よ、永遠なれ!

STRIKE! VOL.2

 11月30日、Kiiiiiiipresentsのイベント「STRIKE! VOL.2」@吉祥寺STAR PINE’S CAFEへ。そういえば前回のVOL.1の会場は渋谷La mamaだった。物販の缶バッジを作るため、缶バッジマシン(手動)のある新宿のレコード店に何度も通って、腰が痛くなるまでバッジを製造したのが懐かしい。物販も会場の飾り付けもみんなでやった。あれから一年半……長いようなそうでもないような。いまじゃKiiiiiiiもタイで大人気のすげーバンドに成長。さらに今回は待望のファーストシングル(7インチ)のリリース記念! しかし、こういう大切なライブに足を運ぶ人たちの顔ぶれは、不思議なことに昔からそんなに変わらないものだ。懐かしい人々にたくさん出会って心がほっとした。Kiiiiiii好きに悪い人はいない。これは本当の話(そうだよね?)。

 懐かしいといえばずっと流れていたビデオ(The Wiggles!Let’s PLAY!)も着ぐるみ(DJ子供くんinside!)もなんか何年前かのライブを思わせた。3000人じゃなくてたった100人のためのこんなイベントもたまにはいい。いつでもKiiiiiiiはひたむきで懸命で、それがぼくの心を熱くする。Kiiiiiiiにしては長かったライブの最後の曲「Hello, darkness」にぐっと来てしまった。ここ何日かの鬱屈した気分が押し流されてすっかり軽くなり、再び事務所に戻って遅くまで残りの仕事に向かった。これでいいのだ。

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