SOI TRAVEL@渋谷Club Asia
昨夜はSOI MUSIC主催のイベント“SOI TRAVEL”。バンコクからFutonが来日してKiiiiiiiと共演したのが、去年のこととは思えないくらい懐かしい。今年はMOTOCOMPOとYMCKが日本から参加、バンコクからは、去年あたりから日本に滞在することの多いJUNEちゃん率いるbear-garden(写真。Kiiiiiiiのu.t.やDJ codomo君が参加)と、スペシャルゲストでFutonのモモコさんが来日。MOTOCOMPOは昔シングルを買った記憶もあり、個人的にはとても懐かしいバンド。元々のレトロなエレポップ風味にここ数年のエレクトロリバイバル以降の音の分厚さが加わった。去年の横浜のSOI Projectの映像に続くモモコさんのステージはたった一人で貫禄があってとてもシンプルで、彼女の持つエネルギーがすべて伝わってくるようだった。強い。モモコさんが去った後の、昨年10月のFAT FESTのどしゃ降りの中でのFutonのライブ映像にも撃たれた。あの日、雨にも負ケズ最後まで会場に残っていたら、こんなすごいパフォーマンスに出会えたんだと思うとちょっと後悔。bear-gardenのステージの照明や演出も含め、手作りの温かさが心地よいイベントだった。松尾スズキさんも観に来ていたそうで。秋に日本のどこかで開かれるSOI企画のイベントに少し関わることになりいまから楽しみ。ほかにもいくつかのプロジェクトの準備のためこの夏は右往左往。

家に帰ってから買った「マクベス」の原作(パンフレットにも紹介されていた、今回クドカンが参考にした松岡和子・訳のちくま文庫版)を一気に読みつつあらためて考えたこと。冒頭、三人の魔女がマクベスに囁く(=王の暗殺をそそのかす)ところからマクベス夫妻の悲劇は始まるのですが、悪人が悪人になるタイミングって一体いつなんだろう、と。最初は純粋で少しだけ上昇志向の強かった一人の男が、魔女の囁きをきっかけに運命の奈落の底に堕ちていく。この囁きは、きっとこの世に生まれた誰もが等しく耳にする可能性があるものだと思う。村上春樹風にいえば「それは私であるかもしれないし、あなたであるかもしれない」(『約束された場所で』)。一番最初の魔女の台詞「きれいは汚い、汚いはきれい」もそのことを暗示している。最近起きたいくつかの悲しい事件を思うにつけ、善と悪の境は本当に紙一重だと感じずにはいられない。「メタルマクベス」のあの魔女たちに囁かれたらどうかな…そのまま通りすぎてしまうかもしれないけど…。
ムーンライダーズとの出会いのアルバムは『アマチュア・アカデミー』。初めて一人で上京したときレコード店でちょうど流れていたのが、まもなく発売予定だったこのアルバムと佐野元春『Visitors』で、「東京ってオシャレだなあ」と田舎学生のぼくは思ったものだった。時代の空気を深く吸い込んだ、それでいてポップで聴きやすいアルバムで、ライダーズのディスコグラフィーの中でもけっこう異質な作品だと思う。80年代に一番聴いた邦楽のアルバムかもしれない。歌詞もそこはかとなくエロスが漂っていて、「30」という曲のシチュエーションや、「僕が19で君が生まれて/君が19のとき僕と出会って」という歌詞(「G.o.a.P」)に妙に憧れた記憶がある。『アマチュア・アカデミー』と次の『ドント・トラスト・オーバー・サーティー』を中心に、上は『カメラ=万年筆』、下は『アニマル・インデックス』辺りまでがよく聴いたアルバム。かつて「Don’t trust anyone over 30」と自虐的に歌ったムーンライダーズが、いまやOVER50で解散・脱退もせず続いているという事実がとてつもなくロックだと思う。



