買ったのに使ってないフォント このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

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 フォントについてここに書くのは久々になる。新しいフォントを買うタイミングがなかったのに加え、去年手に入れたこぶりなゴシック游築初号ゴシックかなの使い勝手にとても満足していて、改めてほかに買い足す気持ちにならなかった。ゴシックでいえば、上記の二つを持っているのに、字形の似た游ゴシック体を改めて買う必要はないだろう、とか。丸明朝体は気になるけど(→ちりとてちんホームページ)、かな書体だけでいいから安くしてほしいな、とか……(エイワンのZEN角ゴシックや漢字タイポス、七種さんの新作など気になっている書体もある)。フォント以外のこともいろいろ考えていた時期でもあった。

 大きな仕事が入ってくるとそれに合わせてフォントを買うのが通例だが、買ったのに使う機会がなくそのまま終わってしまう書体というものがごくたまにある。
 花胡蝶/花蓮華/花牡丹は、書体見本を見て気に入って、発売されたばかりの頃にCIDのパッケージで買った。和をテーマにした仕事と縁遠かったのと、漢字とかなのバランスや実際に組んだときの感触がいまひとつしっくり来ず、やがて使わなくなってしまった。
 タイポスA78は、去年のジャンク・スタイルのシリーズで使うつもりで秋に買ったが、結局方向性が合わなくなり使われなかった。もともと新ゴなどゴナ系の書体を積極的に使う方ではなかったけど、このシリーズには独特の可愛さと美学を感じる。機会があればまた改めて使ってみたい。

佐藤修悦作品展「現在地」 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

昨年まで工事中だった新宿駅構内で、囲いに書かれたちょっと変わった案内文字に目を奪われた経験はないだろうか? ちょっと90年代のデザイナーズリパブリックを想い出させるこの書体、実は新宿駅に勤める(現在は日暮里駅に勤務)駅警備員のおじさんがガムテープの切り貼りで作っているのだと知って少なからぬ衝撃を受けた。もうネットではかなり話題になっている、佐藤修悦さんの案内文字を堪能できる佐藤修悦作品展「現在地」が、本日(9/5)まで高円寺で開かれている。
 
トリオフォープレゼンツ 佐藤修悦作品展「現在地」
2007年8月26日[日]—9月5日[水]
古着屋素人の乱シランプリ(東京・高円寺)
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平野甲賀、再び(平野甲賀装幀の本/僕の描き文字) このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

平野甲賀装幀の本

 「平野甲賀装幀の本」(リブロポート)。既に絶版だが、先日の平野甲賀展で実物を見てどうしても欲しくなり、贔屓にしている吉祥寺の古本屋「百年」で見つけて早速注文した。1985年刊行で、フリーになった1964年から1984年までの装幀と、黒テント時代の演劇ポスターが多数収められている。初期の晶文社の装幀や植草甚一シリーズがまとめて見られるのもありがたかった。

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 平野さんといえば80年代以降の「深夜特急」「ロートレック荘事件」などの描き文字の印象が強く、それ以外にもたくさんの仕事を手がけていたことをこの作品集で初めて知った。描き文字のもの、写植だけのもの、イラストや写真とのコンビネーション、コラージュ……といろいろ。描き文字は勿論素晴らしいが決してそれに酔っている風でもなく、いろんな手法の中からその対象に適したやり方を冷静に選んでいる印象がある。そして、どれにも迷いがなく、自由。平野甲賀展で描き文字のスケッチを見たときもそう思った。この文字とこの文字は何ミリずれていて…みたいな細かいことは気にせず、ぽんぽんと文字を置いていく。細部が多少曲がっていても、全体を引いて見ると確かなバランスに支えられている。デザインにおいて「揃える」こと、ジャストであることは比較的易しいが、「ズレ」を出すこと、バラすことはほんとうに難しい。ガイドラインやベースラインという航路から一旦離れたら、あとはセンスと己に対する全幅の信頼をたよりに船を進めていくしかないのだ。
 
 
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 展覧会場で買ったエッセイ集「僕の描き文字」(みすず書房)には、雑誌「ワンダーランド」(のちの「宝島」)を共に作った編集者の津野海太郎と90年代末に「季刊・本とコンピュータ」を立ち上げた平野さんらしく、IllustratorやInDesignにトライする様子が伺える記述もあった。《せっかくマックでいこうと決心したわけだから、これを機会にあらゆる道具や手続きを、それからアシスタントまでも全部この中に入れちゃって、マックだけで済ませたいと思っている。》 これが1994年に書かれた原稿というから驚く。あの頃、DTPに意識的に向かっていたのは立花ハジメか松本弦人くらいではなかったか。平野さんのように写植の時代を濃密に過ごしてきたベテランが、出たばかりで不備の多かったであろうMacに拒否反応を示すのではなく、積極的にその良さを見つけて自分のモノにしていく……その姿勢が素晴らしいと思った。 

>>タイポグラフィの世界|描き文字考 平野甲賀╳川畑直道

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>>[コウガグロテスク]平野甲賀展

[コウガグロテスク]平野甲賀展 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

コウガグロテスク

 8月10日(金)からNo.12 Galleryで始まる[コウガグロテスク]平野甲賀展。今年6月に出た平野甲賀のフォント「コウガグロテスク」を使った、クリエイターたちによるアートワークを展示。フォント開発中の画面は何かの雑誌で見たことがあるが、本当に発売されていたとは知らなかった。立花ハジメの「信用ベータ」以来の衝撃? 誰が使うんだろう。いや、使ってみたい気も……。
 日刊デジタルクリエイターズの記事によれば、商品名は「CD-Rコウガグロテスク06 漢字篇」。OpenType、4500字収録、限定100部で60,000円(税込)。仮名篇もあり。
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游築初号ゴシックかなW7 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

游築初号ゴシックかなW7

>>字游工房游築初号ゴシックかなファミリー

これまでに紹介した書体は、[FONT>書体見本]カテゴリーでご覧ください。

Metallophile SP8 Light/Light Italic – Secret Service Typewriter – Walton Stencil White/Black このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

Metallophile SP8 Light…

 “grunge”とか“distressed”といったカテゴリに入る欧文書体が好きで、気が付くとそういうのばかり買っている。もちろん自分で手書き/トレースして既存のフォントを加工することもよくあるけど、欧文書体メーカーのサイトからそういうフォントを見つけ出し、“自分のもの”にしたときの気分は最高である。きっとフリマや骨董市でお気に入りの逸品を探す人や、中古レコード店でレアな音盤を発掘するDJと共通する心理だろう。さすがにアルファベット26文字+αの欧文書体の世界はまだ自由度が高いようで、この種のフォントが次々と開発されていて、とうぶん楽しみがなくなることはなさそうだ。

 古さ・劣化感をデジタルの世界に持ち込む方法として、日本には「グランジ」フォントみたいなアプローチは少ないが、大昔の伝統書体の字形を現代のデジタル技術で蘇らせる一連の動きがあって興味深い。有名な丸明オールドは、古き良き伝統の技をMac以降の技術で完璧に再現している。古くて新しい。こういう書体がデジタル時代から生まれてきたことを誇りに感じる。数年前にデジタル化されたモリサワのA1明朝は、ハライの先っぽが、刺さったら痛いのではと心配になってしまうくらい尖っていて、これは現代の尺度からみると「無骨」だが、このトンガリの合間から生まれてくる発光するような白さ・明るさが気になって仕方ないのだ。

これまでに紹介した書体は、[FONT>書体見本]カテゴリーでご覧ください。
 

こぶりなゴシックW1/W3 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

こぶりなゴシックW1/W3

>>千都フォントこぶりなゴシック

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