合成フォント このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

 かつてMac OS9以前のIllustrator(5.5Jとか)で作業していた頃、異なるフォントを組み合わせるのは至難の業だった。AdobeのATC(Adobe Type Composer)やフォントワークスのType Mixingのような混植ソフトはあったもののうまく使いこなせず、結局全部手作業で直していた。中ゴシックの欧文だけ選択して欧文書体に変更し、さらに高さが合わないのでいちいち天地106%に直したり……なんとも無駄な時間を過ごしたものだ。

 OSX/CSx環境のいま、合成フォントの機能を使えば簡単に混植ができる。高さもベースラインもあらかじめ設定しておけるのもいい。フォントの数だけいろんな組み合わせが楽しめる。既存のちょっと飽きてきた書体も、意外な組み合わせでまったく新しく見えてくるから面白い。いまリストに入っている(仮名書体と漢字の単純な合成以外の)合成フォントのうち気に入っているものをいくつか挙げてみた。

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こぶりなゴシックが似合う女優 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

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 ふらっと立ち寄った書店で、目に入って思わず買ってしまった『吉高由里子のあいうえお』(リトルモア)。こぶりなゴシックを上手に使ったブックデザインは誰の手によるものだろう、と“おくづけ”を見たら、リトルモア関連の仕事や湯川潮音のCDなどを手がける中島基文さんだった。

 「ワン・ノート」(サンバ)みたいに、一つの形式で頭から終わりまで貫き通す表現が好きだ(ハウス・ミュージックのように、メロディが変わっていってもベースとリズムはずっと一定、とか)。この本の場合はカバーから本文すべてが(ほぼ)こぶりなゴシックオンリーで貫かれている。彼女自身のスレンダーなイメージによく合っているし、動きのあるタイポグラフィも楽しい。もちろん大森克己さんの写真もステキなのは言うまでもなく、隠し味的に出てくる七字由布さんのイラストもいい。一冊読み終えると、それまであんまりよく知らなかった彼女のことがすっかり好きになってしまっていた。プロフィールを見ると……えっ、ハタチ!?……には見えない(もっと年上だと思ってた)。

>>こぶりなゴシックW1/W3
 

Akzidenz Grotesk Bold Condensed このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

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文字モジトークショー01(レポ) このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

 8月2日(土)に五反田の5TANDA SONICで開かれた「文字モジトークショー01:片岡朗×岡澤慶秀」へ。「游明朝体」など数々のフォントを生み出した字游工房の岡澤さんと「丸明オールド」等で知られる片岡朗さん(カタオカフォントワークス)の対談および書体制作実演、とのことで期待して観た。はじめはごく限られた人向けの勉強会として企画していたが、せっかくなので一般公開しようということになった、と司会の方の弁。

 冒頭でそれぞれが書体作家になるきっかけについてのトークが30分ほど行われたあと、ノートパソコンを持ち込んでの書体制作実演へ。二人合わせて1時間以上と、イベントの半分以上を占めたスリリングな「対決」に、岡澤氏片岡氏両者の書体に対する思いやアプローチの違い・個性が見て取れて興味深かった。
 

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 まず、岡澤氏はWindowsのノートパソコンを使用。あらかじめ方眼紙で作図したいくつかの原字をスキャンして取り込んでおき、Illustratorによく似たインターフェイスのBezier Editor(ベジェ・エディター)というソフトに背景画像として配置、その上から直接ベジェ曲線を打ち込んでトレースしていく。ライブトレースやストリームラインみたいな補助ソフトは使わず、すべて手作業で。このベジェ曲線使いが神業! 少々ラフでも、ピークとなるポイントにぽんぽんと素早く点を置いていき、あとで文字のラインに合わせてアンカーをふくらませ実際の形に近づけていく。作業のスピードも驚くほど速い。いくつかの基本形が完成したら、あとはその素材を使ってコピー/ペーストしていくのだという。もちろん単なるコピペではなく、文字によってはトメやハライの長さ大きさが微妙に異なる場合もあって(たとえば「あめかんむり」の4つの横棒は左上だけが少し小さい、とか)、その都度見当をつけて修正していく。その判断の基準となるのは、作業中片岡さんもびっくりされていたように、書体に対する正確な知識と美的感覚の集積、であろう(岡澤氏は終始ひょうひょうと、それが当たり前であるかのように作業していたけど)。岡澤さんにしか見えない(字游工房のスタッフが共有しているに違いない)書体に対する絶対基準があって、それはたとえ同じパソコンやソフトを使っていても容易に到達できないものだと感じられた。
 

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 休憩をはさんで、片岡氏の実演。MacのIllustrator CS3上に事前に用意された素材をもとに、順を追って説明していく。岡澤さんが「塗り」を使うのに対し、片岡さんは「線」を使って作業を行うのだそう。活字を、最も古い康煕字典から築地書体など経て現代の写植まで順番に並べた資料を最初に見せ、この中から片岡さん自身が気に入った、康煕字典からの最古の活字と最も新しい写植文字の二つ(文字は「愛」)をスキャンしたものを画面上で重ねて、ちょうど重なり合った部分にラインを引くと、なんともあたたかみのある片岡書体のもとが生まれる。これをもとにして制作した明朝体と、もうひとつ、古い書体に若い女性が書いた「愛」の手書き文字を重ねて、同じプロセスで完成させた明朝体の文字を、小塚明朝やヒラギノ明朝などのフォントと比べてみると、やはりなんともいえない味わいが感じられる。片岡さんの口から「味」とか「やさしさ」といった感覚的な言葉がしきりに出てくるのが印象に残った。書体のつくり方にしても、二つの文字を組み合わせて全く新しい書体を作り出す手法は、音楽でいえばDJのミックスやマッシュアップに近いし、同じようにパソコンをベースとしながらも、年齢的には若い岡澤さんがどちらかといえば書体制作の「モダン」の部分を継承し、逆に高齢の片岡さんが「ポストモダン」な側面を担っているようにみえる、という不思議な対比も面白かった。

 最後に書体作家を目指す人へのアドバイスや、今後のお二人の活動予定のアナウンスがあった。片岡さんが次に発表する予定の書体の話は、ぼくにとって非常にうれしいものだった。ここでは実際に会場に足を運んだ人だけのお楽しみということにして、しばらく伏せておこう。

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>>文字モジトークショー

解ありあけW3〜W6 このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

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>>Font-Kai

これまでに紹介した書体は、[FONT>書体見本]カテゴリーでご覧ください。

文字モジトークショー このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

 最近名前をよく聞く五反田のイベントスペース5TANDA SONICで8月に「文字モジトークショー」なるイベントが開かれるそうで、第一回目はカタオカフォントワークスの片岡朗さんと、字游工房の岡澤慶秀さんによる対談。文字をつくろうと思ったきっかけや、制作のプロセスなど……いろいろ聞いてみたい! 目の前での書体制作実演……見てみたい! 書体の歴史とかルールとか詳しいことは何も知らないけど、フォントを使うときは、まるでイラストレーターや写真家に依頼するときのように、敬意を払って、目の前にいない書体作家さんに向かってフォントを“発注”するつもりで、いつもセレクトしている。この二つのフォントメーカーの書体はぼくの仕事に不可欠な“常連さん”なので、とても興味がある。とりあえず予約したけど、席空いてるといいな〜(追記:空いてました〜)。

文字モジトークショー01
片岡朗×岡澤慶秀
Akira Kataoka Yoshihide Okazawa

2008年8月2日[土]午後3時─5時(予定)
5TANDA SONIC(東京・不動前)
料金:おひとり1,500円(ワンドリンク付き)

>>日本タイポグラフィ協会 ニュース

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>>文字モジトークショー01(レポ)

Pelso/Gnosis このエントリをTwitterに追加このエントリをはてなブックマークに追加

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 風土社から出ている大平一枝さんのジャンク・スタイル・シリーズ第3巻『ジャンク・スタイル・キッチン』で使用したフォント。ThinとかUltra Lightとも呼ばれるこの種の極細書体は、とかくクライアントには好まれない傾向がある。実際、『キッチン』のときも若干太らせて使っている。声は大きい方が伝わるし、書体も太い方がより目立つ、というわけだ。

 でもたまにファッション誌の見出しなどで、極細書体がさりげなく使われているのを見るとドキッとしてしまう。ときには太く強く、よりも雄弁に言葉が語り出すことがある。90年代後半くらいの中島英樹さんの中ゴシック/Nakajima Thin使いもそうだった。デザインのセオリーやトレンドから外れることは勇気がいるが、キマると逆にそれが王道になってしまうくらいの強力なパワーを秘めている。いつか大きなポスターなんかで使ってみたいなと思う。

>>T.26

これまでに紹介した書体は、[FONT>書体見本]カテゴリーでご覧ください。

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