これから行くかもしれない展覧会[2011・6~]

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バンドウジロウ 個展「比類なきこのマントラ」
2011年5月31日[火]―6月11日[土]
ソーン・ツリー ギャラリー(東京・小伝馬町)
えっ、坂東さんってTHE BOOMのサポートだったよね。タイポアーティストとしての個展。

JAGDA新人賞展2011 大黒大悟・高田唯・天宅正
2011年5月31日[火]―7月1日[金]
クリエイションギャラリーG8(東京・新橋)
あのD-BROSの果物のメモ帳の人、オールライト工房ほかが受賞。

パウル・クレー展― おわらないアトリエ
2011年5月31日[火]―7月31日[日]
東京国立近代美術館(東京・竹橋)
ただの画家とは思えない。ぼくにとっては偉大なグラフィック作家。

川久保ジョイ展 -STILL LIFE-
2011年6月1日[水]―6月17日[金]
新生堂(東京・表参道)
写真には見えない、静物画のような写真。

宗誠二郎個展
2011年6月3日[金]―6月8日[水]
HBギャラリー(東京・表参道)
クインテットほかで活躍するイラストレーターの新作展。

レイモン・サヴィニャック展 ─ 41歳、「牛乳石鹸モンサヴォン」のポスターで生まれた巨匠
2011年6月6日[月]―6月28日[火]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
もう何回も見たけど、何度見てもいいものはいい。元気になれるポスター展。

赤池佳江子個展「シアターチケット」
2011年6月10日[金]―6月15日[水]
HBギャラリー(東京・表参道)
どこか懐かしさを感じる光景。作家のサイトはこちら

グルーヴィジョンズ展
2011年8月4日[木]―8月27日[土]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
気が早いけど、数年振りの東京展……はやく夏が来てほしい。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2011・5~]

これから行くかもしれない展覧会[2011・5~]

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ホンマタカシ:Satellite 9
オペラシティ「ニュー・ドキュメンタリー」に関連した9か所の企画展。スタンプラリーも。
公式サイト→http://betweenthebooks.com/satellite9/

0=ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
2011年4月9日[土]―6月26日[日]
東京オペラシティ アートギャラリー(東京・初台)

1=ホンマタカシ フォトグラフス
2011年4月25日[月]―5月21日[土]
GALLERY 360°(東京・表参道)

2=“Our Mountain” TAKASHI HOMMA Satellite 9
2011年4月25日[月]―5月15日[日]
UTRECHT/NOW IDeA(東京・表参道)

3=
2011年4月28日[木]―5月15日[日]
ビームス原宿 2F(東京・原宿)

4=OUR MOUNTAIN TAKASHI HOMMA
2011年4月28日[木]―5月15日[日]
PAPIER LABO.(東京・原宿)

5=Takashi Homma London 1991
2011年4月29日[金・祝]―6月26日[日]
Center for COSMIC WONDER(東京・表参道)

6=ホンマタカシ写真展「Seeing Itself〈建築写真編〉」
2011年4月30日[土]―5月15日[日]
Gallery koko(東京・恵比寿)

7=TAKASHI HOMMA「between the books [Mushroom...]」
2011年5月2日[月]―5月15日[日]
リムアート(東京・恵比寿)

8=
2011年5月7日[土]―5月22日[日]
THE CRACKER / GARAGE(東京・神泉)

9=ホンマタカシ写真展「ユキ/under construction」
2011年5月13日[金]―5月26日[木]
epSITE(東京・新宿)
 
佐賀町アーカイブ COLLECTION plus, 1 大竹伸朗展
2011年4月22日[金]―7月4日[月]
sagacho archives(3331 Arts Chiyoda B110(東京・末広町)
佐賀町エキジビット・スペースの活動を振り返る企画の第一弾。

アートママの休日展
2011年4月23日[土]―5月5日[木・祝]
スパイラルガーデン(東京・表参道)
親子で楽しめる展示やワークショップのほか、託児所自体が作品に。

ヘンリー・ダーガー展
2011年4月23日[土]―5月15日[日]
ラフォーレミュージアム原宿(東京・原宿)
生涯夢想し続けた物語「非現実の王国で」を解き明かす大規模企画展。

伝説のイラストレーター 河村要助の真実
2011年4月23日[土]―5月20日[金]
クリエイションギャラリーG8(東京・新橋)
震災と作品許諾のため開催が遅れたものの、無事開催。

第30回土門拳賞受賞作品展 石川直樹「コロナ」
2011年4月27日[水]―5月10日[火]
銀座ニコンサロン(東京・銀座)
ポリネシアの群島の“視えない国家”に住む海洋民の暮らしを追った旅の写真展。

『ミナ ペルホネン?』(ビー・エヌ・エヌ新社)刊行記念展「ミナ ペルホネンの絵ことば」
2011年4月28日[木]―5月16日[月]
青山ブックセンター本店内ギャラリー(東京・表参道)
オリジナルテキスタイルのパネルと『ミナ ペルホネン?』から抜粋されたことば。

小山幸彦「原発を見た」
2011年4月29日[金・祝]―5月15日[日]
3331 Arts Chiyoda(東京・末広町)
原発のある場所・予定地をただ淡々と切り取った風景。

JPDA創立50周年記念・日本パッケージデザイン大賞2011展
2011年5月18日[水]―6月13日[月]
松屋銀座7F・デザインギャラリー1953(東京・銀座)
パッケージデザインは楽しい。いつかどっぷりやってみたい。

村上康成 森羅万象 展
2011年5月24日[火]―6月4日[土]
gallery SER(東京・渋谷)
絵本画家、そしてぼくが所属する野球チームの名コーチの作品展。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2011・4~]

これから行くかもしれない展覧会[2011・4~]

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>>展覧会・美術館への震災影響情報|artscape
※下に記した開館時間や営業の有無は今後変更の可能性もあります。
 
シュルレアリスム展 ─パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による─
2011年2月9日[水]―5月15日[日]
国立新美術館(東京・乃木坂)
ポンピドゥセンターの膨大なコレクションよりシュルレアリスムの代表作を展示。
※開館時間=10:00~18:00(4月13日以降〜当面の間)

NOART
2011年3月30日[水]―4月28日[木]
タカ・イシイギャラリー(東京・清澄白河)
作品が何もないギャラリースペースに、募金箱をひとつ設置。収益は日本赤十字社へ。

TDC展 2011
2011年4月1日[金]―4月25日[月]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
毎年楽しみ。今年は渡邉良重さんほかが受賞。

川島小鳥写真展「未来ちゃん」
2011年4月8日[金]―4月24日[日]
パルコファクトリー(東京・渋谷)
うちの娘に目つきが似ている。祖父江慎さんデザインの写真集ほかも販売。

下平晃道個展 ブルースとジュース
2011年4月9日[土]―5月14日[土]
waitingroom(東京・恵比寿)
油絵の具で幾重にも重ねられた「目に見えない世界」。営業は月・金・土。

ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
2011年4月9日[土]―6月26日[日]
東京オペラシティ アートギャラリー2(東京・初台)
2005年以降に撮られたシリーズ作品をまとめた展示。

ジャケ買いのビガク 誘惑するジャケットデザイン
2011年4月10日[日]―5月8日[日]
生活工房ギャラリー(東京・三軒茶屋)
伊藤桂司さん、グルビ伊藤さんほか多数のデザイナーによるジャケ買いレコードの展示など。

石居麻耶「星の還る街」
2011年4月12日[火]―4月26日[火]
西武池袋本店アート・ギャラリー(東京・池袋)
昨年一度展示を観た。写真のように描かれた夜景。→KALONSNET

新津保建秀×早見あかり「Spring Ephemeral」
2011年4月15日[金]―5月14日[土]
FOIL GALLERY(東京・馬喰町)
ももクロ“青”と、少女写真に定評ある新津保さんの組み合わせに注目。

小池アミイゴ作品展「その辺に咲いていた花」
2011年4月21日[木]―5月10日[火]
にじ画廊(東京・吉祥寺)
各地を巡回してきた展示のファイナル。アミイゴさんらしいイベントも多数開催。

松尾たいこ|Layered
2011年4月22日[金]―5月29日[日]
ポーラ ミュージアム アネックス(東京・銀座)
既存の作品+新作。グルーヴィジョンズがデザインを手がける初の作品集も販売。

ホンマタカシ フォトグラフス
2011年4月25日[月]―5月21日[土]
GALLERY 360°(東京・表参道)
オペラシティのサテライト展示。「東京郊外」などから自選した約30点。

北村範史個展「球根とサコッシュ」
2011年4月27日[水]―5月1日[日]
フラスコ(東京・神楽坂)
北村さんの久々の個展。詳しくはウェブサイトで。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2011・3~]

これから行くかもしれない展覧会[2011・3~]

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亀倉雄策賞の作家たち 1999-2010
2011年2月22日[火]―3月25日[金]
クリエイションギャラリーG8(東京・新橋)
亀倉雄策賞受賞作家11人の代表作と最近の作品など。

「本の知と美の領域 VOL.1 — 白井敬尚の仕事」展
2011年2月24日[木]―3月21日[月・祝]
松屋銀座7F・デザインギャラリー1953(東京・銀座)
『アイデア』誌ほかのアートディレクター。数々の仕事を実際に手にとって眺められる展示。

HITO個展「樹と色」
2011年2月25日[金]―3月2日[水]
OPAギャラリー(東京・表参道)
前から気になっていた静岡在住のイラストレーター。作家のサイトはこちら

時松はるな「ライツ、カメラ、アクション!」
2011年2月28日[月]―3月12日[土]
ギャルリー東京ユマニテ (東京・京橋)
ユーモラスな群衆のイラストに「孤独」と名付けるセンスがいい。

田中靖夫 のびる針金 THE WIRED UNIVERSE
2011年3月1日[火]―3月12日[土]
gallery福果(東京・神保町)
針金を使ったドローイング。担当している絵本シリーズで今度ご一緒します。

藤原新也の写真と書展「死ぬな生きろ」
2011年3月1日[火]―3月18日[金]
永井画廊(東京・東銀座)
昨年刊行された同名の写真集に掲載された写真と書の展示。

マチュー・マンシュ「SPLASH」
2011年3月3日[木]―3月13日[日]
STORE(東京・西荻窪)
ドローイングを用いたインスタレーション。会場はアパレルショップ。

愛おしいゴミ展
2011年3月4日[金]―3月25日[金]
トーキョー カルチャート by ビームス(東京・原宿)
アーティストやクリエイターのちょっとジャンクなコレクターズ・アイテム。

ヒロ杉山:ABSTRACT PORTRAIT
2011年3月4日[金]―3月26日[土]
ヒロミヨシイ六本木(東京・六本木)
七年振りの個人名義による展示は、コラージュを使ったポートレイト(リンクはKARONSNET)。

デザイン 立花文穂
2011年3月4日[金]―3月28日[月]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
立花さんに2回ほど作品制作をお願いしたことがあります。

川島小鳥展「BABY BABY」
2011年3月5日[土]―4月2日[土]
ギャラリーモモ両国(東京・両国)
幻のデビュー作『BABY BABY』の復刊記念。男性だって最近知った。

差分・Difference 「差をとる」ことで生まれる表象
2011年3月5日[土]―4月3日[日]
Paul Smith SPACE GALLERY(東京・表参道)
佐藤雅彦研究室の新しい研究成果。Paul Smithとのコラボも。

AFTER WALKMAN DIE, AND(ザ・カセットテープ展)
2011年3月5日[土]―4月3日[日]
HARCOZA(東京・代官山)
ブルックリンと日本のアーティストによるカセットテープ作品を集めた展示。

生誕100年 岡本太郎展
2011年3月8日[火]―5月8日[日]
東京国立近代美術館(東京・竹橋)
いつも世界と闘ってきた岡本太郎の「対決」に焦点を当てた大回顧展。

“信藤さんでひとつ” respect SHINDO MITSUO
2011年3月12日[土]―3月22日[火]
Grains Gallery(東京・若林)
アートディレクター信藤三雄をリスペクトするデザイナーたちによる展示。

ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
2011年4月9日[土]―6月26日[日]
東京オペラシティ アートギャラリー2(東京・初台)
2005年以降に撮られたシリーズ作品をまとめた展示が東京にも巡回。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2011・2~]

展覧会日和[2010・5〜12月]

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時間が経ちすぎてしまったので、昨年の残りの分をまとめて振り返ることにします。

5月×日

nara.jpg

 仕事場(机)を借りているクライアントの会社で働いている「上司」的な存在のHさんと、ブルータスの「うつわ」特集に出ていた奈良美智の陶芸作品の話で盛り上がり、清澄白河の小山登美夫ギャラリーで始まった奈良美智展「セラミック・ワークス」に一緒に行くことになった。奈良さんにとって陶芸は新しい試みだったとのことで、美術手帖でも大きな特集が組まれていた。ギャラリーに足を踏み入れると、例の奈良さんのキャラが見事に立体化されており、思わず立ちすくむほどの迫力だった。家で毎日1歳児と向かい合っているので、子どもならではのふてぶてしい頬の再現度に目を見張った。先日ミッフィー展で見たミッフィーの立体にも通じる物質感。乳幼児の体のフォルムってすごいと思う。Hさんは小さな顔の一体が気になって、しきりにほしがっていたようだったが、実際これらの作品はいくらで手に入れられるんだろうか?

 観終わってもう職場に戻るかと思ったらまだ時間があるとのことで、深川でごはんを食べてから、予定になかった東京都現代美術館のフセイン・チャラヤン展にも立ち寄ることになった。以前フランスのファッション雑誌を定期講読していた頃、よく名前をみかけたことがあった。トルコ系ということで、イスタンブールに旅したことがある自分には、とりわけ親しみが感じられるデザイナーだった(が、もちろん彼の服を買ったことはない)。すぐロンドンに移住したというから、ファッションの仕事そのものは西欧文化の流儀に則っている部分が大きいのかもしれないけど、ファッションを逸脱したアートの部分にトルコ出身らしい、というか、西欧文化に回収されない、ヨーロッパとアジアの境界に生まれたマルチカルチュラルな歴史観や問題意識みたいなものがにじみ出ているように感じられた。その点では川久保玲と似ている部分もあるかもしれない。
 

6月×日

inokuma.jpg

 初台の東京オペラシティアートギャラリーで猪熊弦一郎展「いのくまさん」を観た。展示のアートディレクション、グラフィックデザインを大島依提亜さんが担当していた。丸亀の猪熊弦一郎現代美術館にはどうにも行けそうになかったから、近くでこういう展示が開かれるのがとてもありがたい。初めてまとまった形で作品を観て、月並みな感想だけど「天才だなあ」と素直に思った。幼少期の作品から才気走るようなセンスに満ちている。スタートダッシュからしてすごい。努力しても絶対に追いつけないような才能。個人的には、1950年代中盤にニューヨークに渡り、高度成長の空気の中で制作された「都市」のシリーズに強く惹かれた。形に対する鋭敏な感覚が伝わってくる。本質的にモダニストだと思う。
 

7月×日

hamano.jpg

 ここ何年かアルバム関連のアートディレクションを担当している、スムルースの東京公演の日。ライブの前に、イラストレーターはまのゆかさんの個展「Presents」が代官山のGALLERY SPEAK FORで開催中だったので立ち寄ることにした。実は先月末、ヴォーカルの徳田君との電話でのミーティングで、はまのさんのイラストを次回のアルバムに起用することが決まったばかりだった。これまでの三部作(UNITE、WALK、HAND)で、色を抑えたメンバーの写真にテーマカラー一色という試みを続けてきて、次回はこれまでとは違ったものにしたいという話を聞き、徳田君とは大学の先輩後輩の関係で、今年に入って何度かイベントでの共演等が続いているはまのさんと、アルバムで本格的にコラボレーションしてみよう、ということになったのだ。はまのさんはあいにくギャラリーには不在だったが(ライブ終わりに会うことができた)、広い会場の中につつましく飾られた可愛い作品を見比べながら、アイデアを頭の中でふくらませていった。
 

8月×日

umekayo.jpg

 梅佳代写真展「ウメップ! シャッターチャンス祭り in うめかよひるず」を観に、表参道ヒルズへ家族3人で行く。壁一面に飾られた写真がどれも面白く、いろんな人の様々な人生を否定せず思いっきり肯定していて、心の中で笑い泣きという感じだった。しかしその写真以上に面白かったのが、地べたを走り転げ回り、会場中に響く大声で泣き叫んだうちの娘(当時1歳10か月)だった。まさに、リアル・ウメップ。ひとしきり泣き終わると今度は、表参道ヒルズの地下3階から地下1階まで続く長い階段を一人で昇っていった。その一部始終を、梅佳代さんに撮ってもらいたいほどだった。代わりに会場内に設置されたセットの前で記念撮影(上の写真)。
 

9月×日

wada.jpg

 8月から大変な仕事の連続で疲れてしまい、ずっと「負け」が続いているような心理状態が続き、展覧会を観に行くような心の余裕がまるで出なかった。9月に入ってからは急性腸炎を患い体調までダウンしてしまった。経口補水液を手放せない毎日だった。ようやく心身のゲージがマイナスからゼロ近くまで戻ったところで、約1か月の間沈んでいた重い腰を上げて、「和田誠の仕事」展(渋谷・塩とたばこの博物館)へと向かうことにした。最初は厭々連れて来られた子どものように心を閉ざし、心の薄目を開けるようにして見ていた。たばこをテーマにした前半の油彩は今回のための描き下ろしとのことだった。その新作を描く過程を撮影した制作風景の映像がテレビで流れていたので、ソファに腰掛けてずっと見ていた。作画には恐ろしく手間がかかっていて、とても緻密な作業だった。途中で間違えたり、やっぱりダメだ、と筆を折りたくなるような恐怖に常にさらされているような感じ。一枚の絵の制作時間は2時間〜2時間半と短いのだが、とても濃密な、心臓が縮むような時間だと思った。ぼくが和田さんだったらとても耐えられない。映像を見ているうちに、静かに心の内側に積もるものがあった。やる気というほどのものでもないが、魂に小さく息を吹きかけられたような心地がした。展示作品がもれなく収録された図録を買って帰った。あとで落ち着いたら読み返してみよう。

9月×日

karlhyde.jpg

 ようやく調子が少しずつ戻ってきた。アンダーワールドのカール・ハイド展 “What’s going on in your Head when you’re Dancing?”が最終日とのことで、急いでラフォーレミュージアム原宿へ。昨日の和田誠展のように制作風景が映像で公開されていた。一見プリミティブに感じられるペインティングが、鉛筆による下書きが重なる部分を丁寧に消しゴムで消したりして、意外に緻密に描かれていることがわかった。かと思うと、丁寧な作業を途中で止めてまたラフに描いたりして、必ずしも緻密さが徹底されているようでもない。ところどころの力の抜き方も面白い。とにかく他人の作品の制作過程を見ることがこんなに楽しいのだと、昨日に続いて味わった。カール・ハイドの奥さんは日本人のようで、作品解説にも日本からの影響についての記述があった。墨を使って描かれた円環は、言われてみればたしかに書道っぽい。会場でずっと流れていたBGMは、アンダーワールドの盟友リック・スミスによる今回の展示のために作られたオリジナルとのことだった。アンダーワールドからビートを取り除いたような心地良いアンビエント。限定2000枚で展示会場のみで販売、というCDを迷わず購入した。会場だけで2000枚も売り切れるとは到底思えなかったけど…。

9月×日

pushpin.jpg

 ギンザ・グラフィック・ギャラリーで、プッシュピン・スタジオ(シーモア・クワスト/ポール・デイヴィス/ミルトン・グレイサー/ジェームズ・マクミラン)の活動を振り返る展示「プッシュピン・パラダイム」を観る。会場にはビートルズの曲がずっと流れていた。プッシュピンの4人をビートルズに譬えたら、ミルトン・グレイサーがジョンで、シーモア・クワストがリンゴ、ジェームズ・マクミランがジョージ、やっぱりポール・デイヴィスはポール(同名だけに)、といったところだろうか。ジェームズ・マクミランの作品から、次に控える黒沢健一の2枚組ライブアルバムの仕事への小さなヒントを得た。そのヒントを逃さぬよう図録を購入。

 
11月×日

hibino-s.jpg

 複数並行していた仕事が一つずつ終わっていき、ようやく雪融けにも似た温かい感覚が戻ってきた。先週、メインマシンのMac miniのハードディスクを話題のSSDに入れ替えたのに続き、事務所のiMacのHD故障にともない再び秋葉原のMacショップへ。修理してもらっている間に、今年オープンした末広町の3331 Arts Chiyodaに行った。目的は日比野克彦の個展「ひとはなぜ絵を描くのか」。先日寄ったときも思ったが、廃校の校庭に人工芝を敷き詰めた広場がとても心地良い。日比野さんについての予備知識は、80年代に一世を風靡した段ボール素材の作品あたりで止まっていた。今回の展示は、その頃の作品も含め、ここ数年で旅した世界各地での活動を振り返る文字通りの回顧展だった。彼自身のスタートにあたる段ボールの作品から、大きく振り幅が広がっていることにまず驚いた。

 誰かから聞いた話で信憑性は計りかねるが、日比野さんの初期の作品は段ボール素材のため保存がきかず、有名なギャラリーや美術館では受け入れてもらえなかったらしい。そんな事情もあって、いわゆるアートに価値やお金を結びつけるような活動に背を向け、現在に至ったのだという。「ひとはなぜ絵を描くのか」という根源的なテーマに基づいて世界を旅し、人々の暮らしや風土をサンプリングしながらそこに自分なりの作業を加えていく。その手つきがお金にまみれていないというか、すがすがしいという印象を持った。芸術家というより冒険家に近い。フィールドワークといった堅苦しい感じではなく、現地の人たちと遊び、直接的に結びついていくような活動。その中で作者自身の「なぜ絵を描くのか」という自問への答えも明らかにされていく。そしてその問いは必然的に、それらの作品を見ているぼく自身の具体的な事情の上にも降りてくる。

 どれも興味深い内容だったが、中でも旅の途中のフランスでのトランジットのホテルで缶詰になりながら、部屋の中にあるものを次々と描き続けた一連のドローイングが面白かった。朝顔の花を咲かせてその種を配る「明後日朝顔プロジェクト」にも、ここ(展示の場)にとどまらない広がりを感じた。こういうカテゴライズが難しい活動を引き受ける3331 Arts Chiyodaという場の柔軟な姿勢にも好感を持った。

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