NODA・MAP番外公演「THE BEE」日本バージョン

bee.jpg 三軒茶屋のシアタートラムで開催中の、NODA・MAP番外公演『THE BEE』というお芝居のチケットをコンドルズ好きの友人が取ってくれた(6月30日土曜日夕方公演)。近藤良平がダンサー/コリオグラファーとしてではなく完全に役者として出演する初めての作品で、原作は筒井康隆の「毟り合い」(『メタモルフォセス群島』所収)。近藤良平好き+全集読破・筒井康隆フリークとしては楽しみだったが、原作のグロテスクな設定からか、先に観ていた演劇の先輩方の反応が賛否両論。おまけに先日の「井戸の底」騒動以来いまだ体調絶不調中、人の集まる場所が戦場に感じられる昨今のぼくには、内容的に少々刺激が強すぎるか。直前まで迷いに迷った挙げ句、結局行くことにした。

 野田秀樹の芝居を観るのは初めてだったが、スリーピースのロックバンドやジャズ・トリオを聴くような緊張に満ちていた(出演者は本当は全部で4人)。近藤良平の演技は想像の数倍素晴らしかった。このまま役者に転向してもやっていけるのではないか。舞台役者に必要にして十分なしなやかな身のこなし。派手な動きはないが、表情と言葉がダンスを踊っている。俳優としての基礎経験を積んでない分、そこに束縛されない自由さがあった。デザインやアートの世界でも、美術教育を受けてない人の仕事が“普通の”人々の実力を凌駕することが時にあるが、それに近いものを感じた。彼はダンスの言語で芝居の世界に自然体のまま入っていて、それを野田さんが上手く掬い取っているという印象。

 肝心の内容については筒井さんの先見性か野田さんの力量か……悲惨なニュースが飛び交う現代そのもののお話になっていた。こういう「毟り合い」的状況、つまり敵を傷つけているのか味方を傷つけているのかわかんなくなる状況というものは、どこにでも誰の心にも等しく生まれうるものだ。“THE BEE”とはその象徴であり……などと書き過ぎてしまうとこれから観る人に悪いので、このへんで締めておこう。『THE BEE』はロンドンにて英語で初演され、今回観たのはそれを日本語に訳した「日本バージョン」。このあと英語によるロンドンバージョン(日本語字幕付)の上演も続けて行なわれ、そちらでは主人公のサラリーマンを女性が、ヒロイン(籠城先の妻)役を今回主人公役だった野田さんが演じる。




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