「で、キミは今日何かつくったのか?」

artit.jpg 『ART IT』第13号[特集]未知なる既景:大竹伸朗のすべて/大竹伸朗インタビューからの一節。「キミ」とはつまり大竹伸朗自身であり、これは自分自身への日々の問いかけの言葉だということだが、ぼくには他ならぬこの自分に対して問いかけられているような気がしてならなかった。「で、キミは今日何かつくったのか?」

 終了間際の「大竹伸朗 全景 1955-2006」に昨日再び行った。二回目。超満員の観客の間をすりぬけて、駆け足で一時間半。シンガーの友部正人さんが「全景」を観て「見ているとたまらなく音楽がやりたくなりました。自分の中に音楽が聞こえてきて、それを録音したくてたまらなくなりました。」と日記に書いていたが、まったく同じような気持ちにさせられた。何を描くのか/つくるのか……テーマはまださっぱり浮かんでこないが、衝動だけがダブ平&ニューシャネルの演奏のように「グワ〜ンンッ」と真っ白な心の中でこだましている。

これから行くかもしれない展覧会[2006・12〜]

IMPORTANT WARHOL WORKS PART II
2006年12月1日[金]—12月22日[金]
ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート(東京・日本橋)
アンディー・ウォーホルのレアなオリジナル作品の展示。
「CHILDREN’S DANCE」とか良さげな感じです。

立花文穂展「SMTWTFS07」
2006年12月7日[木]—12月23日[土・祝]
東青山(東京・青山)
前回は田園調布で行なわれたカレンダー展の最新版。

クリエーターからのとっておきのプレゼント展
2006年12月12日[火]—12月24日[日]
ギャラリー ル・ベイン(東京・六本木)
KiiiiiiiのLakin=多田玲子が参加する企画展。

牧野伊三夫個展「身のまわりのことなど」
2006年12月15日[金]—12月23日[土・祝]
HB Gallery(東京・表参道)
北九州の情報誌「雲のうえ」の挿画もよかった。

Happy Christmas from Savignac
2006年12月15日[金]—12月27日[水]
ロゴスギャラリー(東京・渋谷)
サヴィニャックのポスター展再び。生前に友人に贈ったクリスマスカードの展示も。

荒木経惟 —東京人生—
2006年10月17日[火]—12月24日[日]
江戸東京博物館(東京・両国)
東京の町並みを捉えた初期作品から最近のデジカメまで全600点。

moji moji Party vol.1
2006年12月19日[火]—12月24日[日]
ギャラリー華音留(東京・表参道)
装飾活字の書体や見本帳のセット、フォントを展示販売。

choise, set , up! アーティストカレンダー展
2006年12月1日[金]—12月28日[木]
gg(東京・渋谷)
好きな作家の作品を1カ月ごとに選んで作れるスペシャルカレンダーの展示販売。

日本とドイツの美しい本2005
2006年10月27日[土]—2007年1月28日[日]
印刷博物館 P&Pギャラリー(東京・飯田橋)
造本装幀コンクールの審査委員長は俳優の児玉清氏だって知ってた?

ノルシュテインの絵本づくり展
2006年11月29日[水]—2007年1月31日[水]
ちひろ美術館(東京・上井草)
ロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインの絵本原画展。

to-kichi「good daddy」
2007年1月16日[火]—1月27日[土]
ブックギャラリーポポタム(東京・目白)
ひそかに注目のデザイナー/工作家トーキチさんの個展。今度こそ行けたら。

DJ codomo「Onnacodomo展」
2007年1月25日[水]—1月30日[火]
にじ画廊(東京・吉祥寺)
Kiiiiiiiの新作をレコーディング中の子供くんの映像ユニットの展示。

 
>>これから行くかもしれない展覧会[2006・9〜]

書体を「選ぶ」ということ

《装幀に限らず、どの書体がきれいだとか好きだとかというのは、デザイナーがいうべきことなのか。そういう疑問がありますよね。この書体がきれいだから、好きだから使う——僕は、そうじゃないだろうと思っている。デザインって、ある目的があって、そのために頭と手を動かしていくことでしょ? 個々の現場で、個々の内容に見合った書体を、その時々で選ぶ。その繰り返しにすぎないわけですから》

dg 『デザインの現場』2006年10月号「特集:書体の選び方」の、装幀家・菊地信義氏のインタビューより。……確かに、そうありたいとは思う。しかし写植とは無縁の、デジタルオンリーで仕事している自分にとって、書体とは「その時々で選ぶ」ものではなく、その美しさにひかれ、相応のライセンス料を支払い自分の道具として使っていくもの、ということになってしまう。そこにはどうしても書体への愛情や「好きだから」という気持ちが生じてくる。はっきり言って書体、大好き。いつもきれいな書体、はっとする書体には(その使い方も含めて)目を輝かせてしまう。いろいろ吟味して必要だと思うものは思い切って買う。そうして手に入れた書体には愛着が生まれてくる。もちろん仕事との相性は常に頭に置いているけど、好きという気持ちがなかったら高いお金を出して買う気にもなれないだろう。

 そんな自分にとってちょっと困ってしまうのが、モリサワパスポートやフォントワークス/イワタのLETS……毎年3〜5万円の年間契約でその会社のフォントが全部使えるようになるシステムのこと。かつて書体単位で買ったA1明朝や毎日新聞書体その他のモリサワフォントが、その総額よりもはるかに安い金額で使い放題というのはちょっぴりくやしい。しかしよくよく考えて、そのいずれにも加入しないことにした。パスポートに加入してモリサワのフォントばかり多用し、モリサワの書体見本集みたいな仕事になってしまうのも嫌だし(そんな感じのデザインを見かけることが最近多い)。なんというか書体に対してもっと自由で、フラットでいたいのだ(その点、書体を所有せずその都度必要な分だけを注文できる、写植というシステムは実に理想的だと思う)。

 デジタルフォントの黎明期からモリサワのフォントには本当にお世話になった。時代は変わり、いまはかつてのモリサワ、フォントワークスの巨頭をしのぐ勢いで、様々なメーカーやデザイナーが“使える”デジタルフォントを開発している。やっぱりぼくは素敵な本や雑貨を買うような気持ちで、それらの中から一つ一つ自分の仕事に合った書体を探していきたいと思う。

《選ぶことの中には、つねに迷いが内包されている(※「選」の偏であるしんにょうに、行きまどうという意味が込められている、とのこと)。たった漢字一文字なのに、含蓄があるでしょ?(笑)文字を選ぶことにだって、やっぱり、つねに迷いがある。この文字でいいのか。この書体を選んで、相手に伝わるのか。僕の場合、いつもそういう逡巡にさらされながら、文字と付き合ってきた。》

 偉大な装幀家である菊地さんのような人からこのような言葉が出てくることが嬉しい。それでも最後に選ばれる「答え」はたったひとつ。その冷徹さ、厳しさ、重さとともに自分もありたい。本当にそう思う。

《そのとき、いちばん重要になってくるのは、見ることです。文字の歴史を見ると同時に、今、ここにある書体の具体的な表情を見る。そのふたつがあって初めて、選ぶことが可能になると思っているんです》

 書体の道は険しい。

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