森岡書店/大竹伸朗「旅景」
石井ゆかりさん(サイト「筋トレ」主宰)の日記で紹介されていた茅場町の古書店、森岡書店に行ってきた。古くからあるとてもモダンなビルの一室。今年の春、フォトグラファー中川正子さんの写真展があった水道橋のギャラリーも、同じく川沿いの雰囲気あるビルの一室だった。写真の発するエネルギーとそれを包み込む空間の包容力が素晴らしく、会期中4回も足を運んでしまったことを思い出した。この店にもそのギャラリーに似た優しい空気が満ちているのが感じられた(お店の詳しい紹介はこちらのサイトにも)。
店内にはおもにチェコ語で書かれた美術・建築関係の本や絵本、ペーパーバックなどが整然と並んでいた。図版が美しい印刷技術についての本と、絶妙な二色印刷の小さなハードカバーの本、二冊を購入。ほかにも気になる本が何冊かあったけど、商品は常に新しいものが入荷しているようなので近いうちにまた行ってみたいと思う。この空間そのもののように穏やかな店主とはとても話が弾み、ずいぶんと長居をしてしまった。
この日もう一軒行ってみたいと思っていた大竹伸朗「旅景」会場のベイスギャラリーが、同じ茅場町の駅を隔ててちょうど反対側にあるのを出かける直前に知って、思わぬ偶然に驚いた。展示されていたのは「全景」旅編のアザーテイク、実際の風景を残像のようにすばやく切り取った絵の数々。作品それ自体よりも、作品から大竹さんが実際に見た風景を想像するのが楽しかった。
「全景」以降、オオタケウィルスが恐ろしい勢いで体内に広がっていくのを感じる(きょうは「美術手帖」「ART IT」「アイデア」…大竹特集本を片っ端から買ってきて読み始めた)。たとえばベイスギャラリーのサイト内にある大竹さんの「旅景」と題された文章(下記は抜粋)は、ぼくを否応なく次の新しい行動へ、いわば「旅」へと駆り立てる。
《自分にとって旅の必需品、それは今も昔も筆記用具と簡単なカメラだ。これは18の時初めて北海道に行った時から変わらない。筆記用具といっても特別なものでは全くない。文房具屋の店頭に吊るしてある筆ペン、これが5本くらい、鉛筆、色鉛筆、カッター、短かめの定規、そしてハードカバーのスケッチブックとメモ帳でもカバンに放り込めば気分はかなり旅モードに突入する。 これだけあればたいていの退屈な時間からは解放される。パソコンや文庫本より確実にランクは上だ。空港からメールしたり人が書いた架空話を読んでいる場合ではない。自分が何かをつくるのだ。》

