丸明オールド

これまでに紹介した書体は、[FONT>書体見本]カテゴリーでご覧ください。

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GW中に買った石川直樹「いま生きているという冒険」(理論社・よりみちパン!セ)が面白くて、連休の間ずっと読みふけっていた。
石川さんは、高校時代のインド一人旅を皮切りに、アラスカやアフリカ大陸ほかの高所登山、気球の旅、北米〜南米大陸を縦断して北極点から南極点へと至る旅などで、世界を駆けめぐる若き探検家。
雑誌「NEUTRAL」の連載で早くから名前は知っていたものの、なぜかずっと年輩の人だと思っていた。ごく最近20代だと知って驚いた。
高校時代のインド〜ネパール一人旅のことをつづった第1章からいきなりひきこまれてしまう。
感心するのは、若くして他の人ができないような旅の体験をこれだけたくさんしてきたにもかかわらず、《はじめて一人暮らしをしたり、会社を立ち上げたり、いつもと違う道を通って家に帰ることだって旅の一部》《現実に何を体験するか、どこに行くかということはさして重要なことではないのです》と言い得てしまう懐の広さと器の大きさ。
たくさんの旅を重ねてきたような人に「自分が見てきた景色こそが最高」「実際に旅してみなければわからないことがある」とかではなく、こんなふうに言ってもらえることが、その後に続く旅人や普通の人々の心をどんなに勇気付けてくれることか。
最終章の“想像力の旅”からは、石川さんにとっての旅〜生きることの意味が静かに伝わってくる。
きのう4月30日(日)、日比谷野音で観たムーンライダーズ30周年記念ライブのこと。ライダーズに縁のあるゲストが次々登場し、往年の名曲やプロデュース作を一緒に(or ソロで)演奏する、という夢のようなイベント。ゲストの名前を並べてみるだけでもこの日のイベントの豪華さが伺いしれるはず。⇒青山陽一/あがた森魚/遠藤賢司/曽我部恵一/高橋幸宏/直枝政広+太田譲(from carnation)/野宮真貴/原田知世/PANTA/ポカスカジャン/みうらじゅん……中でもグッと来たのは、あがた森魚との「大寒街」(矢野顕子がライブでよく歌っている曲)、エンケンとの「塀の上で」(これも矢野さん“の”曲)、野宮真貴との「My Name Is Jack」(ジョン・サイモンという人の曲をライダーズが『ヌーヴェル・ヴァーグ』でカバー⇒それをピチカートがカバーしたのをこの日ライダーズが逆カバー)、高橋幸宏との「9月の海はクラゲの海」(元々高橋幸宏のヴォーカルでも成り立つくらい幸宏色がある曲と思っていたので、とても自然な共演に感じた)。他のゲストも、ギター一本でうっとりと聴かせた曽我部恵一など、それぞれに見どころある名演揃いだった。最後に全員で歌った「Don’t Trust Over 30 (50) 」も凄かった……。この日のライブの模様は年末に映画化されるらしいので、詳しい感想はこのくらいで。
ムーンライダーズとの出会いのアルバムは『アマチュア・アカデミー』。初めて一人で上京したときレコード店でちょうど流れていたのが、まもなく発売予定だったこのアルバムと佐野元春『Visitors』で、「東京ってオシャレだなあ」と田舎学生のぼくは思ったものだった。時代の空気を深く吸い込んだ、それでいてポップで聴きやすいアルバムで、ライダーズのディスコグラフィーの中でもけっこう異質な作品だと思う。80年代に一番聴いた邦楽のアルバムかもしれない。歌詞もそこはかとなくエロスが漂っていて、「30」という曲のシチュエーションや、「僕が19で君が生まれて/君が19のとき僕と出会って」という歌詞(「G.o.a.P」)に妙に憧れた記憶がある。『アマチュア・アカデミー』と次の『ドント・トラスト・オーバー・サーティー』を中心に、上は『カメラ=万年筆』、下は『アニマル・インデックス』辺りまでがよく聴いたアルバム。かつて「Don’t trust anyone over 30」と自虐的に歌ったムーンライダーズが、いまやOVER50で解散・脱退もせず続いているという事実がとてつもなくロックだと思う。
