ホテル・ルワンダ
観たのは1月末でもうずいぶん前になるけれど、いまも渋谷のシアターNでロングラン上映されている「ホテル・ルワンダ」について。
アフリカのルワンダで1994年に起こった部族間の差別に起因する大虐殺をモチーフにした、実話に基づく映画(based on a true story)。日本では当初公開の予定がなく、公開を求める人々の署名運動により上映が実現したという。
ここまでの予備知識で(おそらく多くの人と同じように)一つの結論をごり押しするような説教臭い映画を想像してしまったのだが、実際はそのまったく逆。詭弁に賄賂に自己保身……ずる賢いところもかなりある主人公のホテルマンが、自らをとりまく状況に気付きつつ最終的に多くの難民を救うに至るまでの過程が、終始一貫してフラットな目線で描かれている。決してただの美談には終わっていない。
ドン・チードル扮する主人公の人間臭さが(実際の本人がよくこの脚本を許可したな、と思える描写もある)、とにかく自分に通じるところがあって共感できた。ぼくもあのような死と隣り合わせの極限的状況に追い込まれたら、きっと彼と同じようにただ自分と家族が生き延びること(だけ)をひたすら願い、そして(あたふたと)行動するだろう。
その“生命力”にひかれてか、たくさんの難民がある種本能的に彼の回りに集まってくる(もちろん一見小狡い行動をしてもどこか憎めないような“人徳”も彼には備わっている)。そのような生命力をぼくも持ちたいなと思う
……と一人のキャラクターについてあれこれ考えたくなってしまうほど、よく作り込まれた映画だった(それとも単なる偶然のなせる業か)。

