金森穣ノマディック・プロジェクト2[-festival]
8月13日(土)都立大学・めぐろパーシモンホールで、演出振付家の金森穣がプロデュースするコンテンポラリー・ダンスのイベントを観た。二週間前、金森さんが主宰するダンス・カンパニーnoism05の公演に衝撃を受け、すぐにチケットを買うことにした。あとになって知ったのだが、この日の参加ダンサーのほとんどは主にヨーロッパに渡って活動している日本人で、これだけのメンツが一同に会することはめったにない出来事なのだそうだ。音楽にたとえるとロック・フェスみたいなものかも(やっぱり[-festival]だけに)。いまはコンテンポラリー・ダンスについて知らないことの方が多く、何もかもが新鮮で面白い。
全部で10の演目の中でとくに印象に残ったのは、一番最初の金森穣+タップダンサー熊谷和徳によるデュオ「HIM」。音楽でも格闘技でも(?)どんな世界でもそうだろうけど、異なるジャンル同士のコラボは想像をはるかに超える面白さをもたらすものだ。熊谷さんのタップが金森さんのダンスに火を付け、その火がまたタップに飛び火して…みたいな二人の火花の散らし合いが目に見えるようだった。あとは、後半のイリ・キリアン振付による小尻健太・湯浅永麻の「Sleepless」。湯浅さんという女性のダンスと、それによって描き出される肉体は、まるでサイボーグみたいで(正確にはクラフトワークの『ヨーロッパ特急』を連想した)、人間の動きをはるかに超越していた。金森さんが振付したnoism05の井関佐和子によるソロ「NINA-prototype」にもそれを感じた。この二つは踊りだけでなく、照明・音楽などすべての効果が素晴らしかった。最後のザ・フォーサイス・カンパニーの安藤洋子と二人の男性ダンサーによる「3A」は、思いがけない方向に次々とヴィジョンが展開されていって、これぞコンテンポラリー・ダンスの醍醐味と思える内容だった。衣裳がmina perphonenの皆川明さんで、男性ダンサーの二人が着ていた栗色の薄いボーダー・ニットが動きやすそうでカッコよくて、ほしくなってしまった。
上演された10本の多くが男女のデュオだったこともあって、男と女のダンスで表現されるテーマは、恋愛やセックスみたいな男女の永遠の課題にどうしても引き寄せられるものだなあと感じた(クラシックバレエ以来の伝統?)。そこをあえて超えていくような作品がぼくには面白かった。それと、コンテンポラリー・ダンスでとても重要な位置を占めているのは、やはり音楽だった。エモーショナルな音楽、強い印象の音楽は踊る人の心を高揚させ、同時に観る人の心を高揚させる。音楽と遠く離れた(と思える)場所で、音楽の限りないパワーに再び出逢えてうれしい。普段過ごしている音楽の世界からますます離れてみたくなってきた。

