矢野顕子/さとがえるコンサート2003

2003/11/16
AD/D/Papercraft IL=下山ワタル
CL=ニューフレンズ
IL=しりあがり寿
NOTE=1998年からデザインと編集を担当し、この年でひと区切りを迎えた、矢野顕子「さとがえるコンサート」パンフレットの2003年版。前年までのビジュアル中心の内容から、この年は矢野さんと「歌」との関係を紐解くテキスト中心のパンフに。また、イラストをしりあがり寿さんにお願いすること、表紙カバーにピアノのペーパークラフトを載せること、という矢野さんからの二つのリクエストにも応えた。

本の内容にあたる矢野さんのインタビューやミュージシャン・作家へのコメントを依頼した時点で、ヴィジュアルの方向性はほとんど決まっていなかったが、少し後になって、しりあがりさんに走り書きしてもらった無意味なイラストを、ノーマルに組んだテキストのあちこちに小学生の教科書のらくがきのように配置するという案が浮かんだ(このアイデアは、のちにしりあがりさんがイラストを担当した「言いまつがい」等の本でも使われていた)。しりあがりさんからFAX10枚にびっしり描かれた意味不明イラストが届いたときは、さすがに感激で笑いが止まらなかった。真面目な文章やコメントの間にふざけた絵を配置していく作業が快感だった。

カバーのペーパークラフトは市販のものを研究するうちに楽しくなってきて、人に依頼せず自分で作ることにした。まったく初めての経験だったが、考えてみたら幼い頃から、ペーパークラフトに似たオリジナルの紙のおもちゃをよく自作して遊んでいたので、案外難しくなかった。数回のテストを重ね、ようやく組み立て可能なペーパークラフトの完成へと漕ぎつけた。ピアノの分解構造は、ピアノ会社のサイトのウェブ工場見学や何冊かの資料のほか、実物のピアノを見たりして調べた。コンサートで「一家に一台ピアノを持ちたいという夢……みなさん、今夜それが叶います!」と、矢野さんにパンフのことを紹介していただいたのがうれしかった。
ほかにも、カバーを取った下の白い表紙にピアノの型抜き⇒めくるとピアノをイメージした黒い光沢紙、さらにその下にグレーのタントの見返し二枚使い、ペーパークラフトのピアノの黒い部分にも光沢度を高めるためのUVニス、など装幀に関してもずいぶん贅沢をさせてもらった。


